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  ■無(ゼロ)の概念の誕生

●「無」「空」「間」を読み取る力

日本人は、古来より「無」「空」「間」という言葉で表されるような、見えないものの気配や空気を感じる深遠さを尊んできました。

茶の湯や武道の世界では、達人たちは目に見える現象だけでなく、一瞬にしてそのもののすべてを読み取る力を持っています。

私達を取り巻くこの偉大なる空間には、宇宙や自然からの目に見えないエネルギー、あるいは人間の心や身体、また万物から放たれる気やオーラのような「ゆらぎ」が存在しています。この見えない「ゆらぎ」を感じ取れる力こそが、あらゆるものの調和と循環を正しく支えてゆくのです。

宇宙では、すべてのものが絶え間なく動き、循環と揺らぎを繰り返し、自然や人間の心や身体も共振しながら、おのおのの「ゆらぎ」を維持しています。

最終的には、この「ゆらぎ」が、大自然と調和しあっているか、あるいは心や身体に心地よいか悪いかを感じ取る直感力を磨くことが、これからの時代を美しく健康に生きられるかどうかを考える上で、大変重要になってくるのです。

●西洋思想の「ゼロ概念」の発達

日本の「無」「空」「間」の概念を数字として示したものが、アラビア人の「ゼロ」の概念です。「無」の概念が、インド思想家たちに無を一つの単位とすることを認識させ、やがてアラビア人が「ゼロ」を生み出しました。アラビア人は、算段の空位(ゼロ)を「シフル」という言葉で表しました。この「ゼロ」(シフル)の概念が生まれたことで、今私達が使っている数字のゼロが誕生し、たとえば数字の12が102、1002、10002と表現できるようになり、無限大の広がりをもたらしてくれることになったのです。

すなわち、「無」や「ゼロ」は何もないということではなく、果てしない可能性を秘めた宇宙空間だということです。

光や音は人間には見えないものですが、物体にあたって反射して、人間の目に見えたり、聞こえたりするものになります。宇宙は、五感では感じられないものの力によって支配されています。感じられるものはごく一部です。石や水も同様に、五感では感じられない大きな力を秘めているのです。

〜コラム〜

●自然の声が聞ける人々

世界には、超自然的存在と直接交流をして、予言、病気の治療、現状の変更などを行うことができる特別な霊力や霊感を持った人がいるといわれます。ネイティブアメリカン、メディスンマン、シャーマニズムの巫女、フィリピンのアニテラス、沖縄のノロやユタ、青森のイタコなどです。

彼らは山に入ってエネルギーの高い薬草を見つけて調合する術や、雷を呼び、雨を降らせる術などを身につけていました。このような人たちは大自然と人間社会の中間に位置し、そのバランスを取る働きをしています。

彼らは大自然との調和の中で厳しく生きており、非常に研ぎ澄まされた感性と直観力を持ち、動物のような嗅覚で身体に有益な薬草を症状別に見極めるチカラを持っていたり、自然の力で身体を癒すたくさんの術を知っています。

現代のように自然との接触が乏しく、化学物質や電磁波に囲まれて生活していると、残念ながら人間が本来持っていたはずの直感力が乏しくなっていきます。このような生活が長く続くと、身体にいいもの、悪いものを見極める力がなくなり、また悪いものが蓄積されてもそれを排除する機能も衰えていきます。

立ち止まって自然の声を聞きましょう。土の、空気の、水の臭いを嗅ぎましょう。都会での日常生活でも心がけ次第で人間に本来備わっていたすばらしい力を取り戻す事ができるのです。


 
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